チャンカチャンカ、とリズミカルな鉦の音を聞くと、自然と気持ちが昂る。血、それともDNAを呼び起こす何かがあるのか、いわきに根付いている、という実感がわく▼9年前に父が亡くなり、新盆では細君の友人が多く所属している団体に供養を頼んだ。市内で唯一、女性のみでつくるじゃんがら念仏踊りチームで、「子どもが泣かないじゃんがらです」との言葉通り、しなやかな踊りと所作、やわらかな歌声が心に沁みた▼念仏踊りの発祥は今、大きく3つが知れ渡る。袋中上人、祐天上人、そして、いわき地域学會代表幹事の夏井芳徳氏による泡斎念仏発祥説。長く祐天上人説を信じてきたが、根気強く史料を読み解き、考証を進めてきた夏井氏の解説には力がある。「ぢゃんがら」と、こだわるのも面白い▼地域によって踊りやリズム、歌詞に違いがあるのもいい。かつては女性もじゃんがらを踊っていた。故人を偲びながらいわきの歴史を紐解いてみるのもよい。
片隅抄