近年は健康志向の高まりから登山を楽しむ人が増えている。県内には磐梯山や安達太良山などがあり、休みを利用して大勢の登山客が訪れる▼一方で山岳事故が後を絶たない。昨年、全国で発生した山岳事故は前年から111件増の3126件で、統計を取り始めた1961年以降、最多となった。本県では山岳事故が66件発生。遭難者は77人で、このうち死者は5人、負傷者は38人だった▼遭難者の多くが、疲労や発病で歩けなくなったり、道に迷ったりしている。経験や山の知識が足りず判断を誤るケースに加え、不十分な装備で計画がずさんだったことなどが原因とされる。また、標高が高くなればなるほど天候は急変し、夏山から冬山へと逆戻りすることがある。防寒着や雨具、食料は忘れないようにしたい。無理と分かったら安全優先の行動を取ることが大事になる▼山に入ったらマナーも忘れずに。ごみのポイ捨て、山野草の盗掘などは絶対にしてはならない。