今回の衆院選では政治とカネ、経済対策、年収の壁、年金、子育てとさまざまな問題を争点にして争われた▼結果、与党が大敗し野党との政策ごとの連立を組むことで合意した。1カ月がたち野党の目玉政策、中でも年収の壁では大きな動きが見られるが、高齢者としてはもう一つの目玉、年金、医療対応の遅さが気にかかる。定年後は年金と貯蓄で何とかやっていけると思っていたが、このところの物価の高騰からそれは厳しいとの声▼中には、生活が苦しいと定年後も働く人は少なくない。国は65歳までの定年延長や継続雇用制度の導入、70歳までの希望者全員を対象とした継続雇用を努力義務とした。高齢者の働く意欲を後押しすると言うが、本音は社会保障費の圧縮、税収アップを狙った節が見られるだけに素直に喜べない▼問題山積の中、年金だけではないと反論もあるだろう。少子高齢化、人口減は待ったなし。今回はしのげても、次に控える高齢者は大変だ。
片隅抄