「おこがましいかもしれないが、私たちは震災当時、市民の社会インフラだった」。くすりのマルトの代表取締役社長・安島力氏が14日、県による無人航空機(ドローン)を使った物流配送の公開実証のあいさつで語った言葉だ。グループのスーパーをはじめ、いち早く店舗を開けた姿から、その話に偽りはない▼調剤薬局として先行きが見通せない中でも、お薬手帳の情報や、被災して着の身着のままの人から聞き取りをし、何とか医薬品を提供し続けた。だからこそ災害時、孤立した人たちにいち早く薬を届ける重要性を説く▼安島氏によると、医薬品をドローンで運ぶには、まだまだ法律の制限があるという。しかし東日本大震災の体験に加え、昨年元日に起きた能登半島地震の状況を踏まえ、目の前で困っている人を助けたいと訴える▼実証実験を取材し、有事の際のドローンに大きな期待を持った。ならば環境を整備するべきだ。次の災害が起きる前に。
片隅抄