台所の隅に使い忘れたニンニク２片があった。芽が伸び、食すには適さないと思い、捨てるつもりだった。考え直して、小さなガラス容器に水を入れ、浸して置いたらすぐさま根を張り、元気を取り戻した▼単なる個体に過ぎないがその生命力には感心する。厳しかった今年の冬も過ぎ去り、年度替わりとともに春本番になる。新入生、新社会人らが新たな一歩を踏み出す季節。こちらには遠い過去のことだが節目ごとの情景は記憶にある▼会社勤めの長いこちらも、年度末から４月にかけては何かと気ぜわしい。業務上、これまで使い慣れた新聞手帳も諸般の事情で手に入らなくなった。仕方なく同サイズのものを探し購入したものの勝手が違い、いまだ白紙のページが多い▼気を取り直し、新年度から本格的に使うことにしている。人間の記憶など加齢とともに怪しくなり、子細に書き込めば日記代わりにもなろう。結果的に具体的な意識を書き残すことにつながる。
