日本史の専門誌を広げ、ある広告が目に付いた。東白川郡棚倉町に残る棚倉藩二代藩主の丹羽長重が築いた棚倉城が、今年築城400年を迎えたというもの▼長重の父長秀は織田信長の双璧と称され、本人も徳川家に仕え、棚倉城や白河小峰城を手掛けた「築城の名手」として知られる。広告では初代棚倉藩主で九州随一の猛将と評された立花宗茂も前面に打ち出す▼所領を没収された後に復活を成し遂げた両家だけに「東北の隠れた名城 復活・出世のパワースポット」の文言も。全国の歴史、特に武将や戦国、城好きにはたまらない。専門誌にちなんだフリーマガジンを作る、その町のこだわりようも驚きだ▼棚倉城と同様、石垣などの城跡のみ残る磐城平城はどうか。しろあと公園が間もなく供用を開始するが、一向に全容が見えてこない。平城(ひらじろ)とはいえ、戊辰の役では政府軍を2度も跳ね返した名城。やりようによっては観光資源として十分、全国に向けPRできる。
片隅抄