「価値を最大化することで、どんどん読みたくなるように」。小紙が昨年10月に朝刊化するにあたり、地域の金融機関のトップとして、優しい表情でエールを送ってくれたことをはっきり覚えている。残念ながら、不正を知る一人だった▼いわき信用組合の旧経営陣による不正融資問題を巡り、前経営陣が退任して役員が刷新された。直木賞作家の経済小説でも描けないような重層的な闇が、第三者委員会の報告書では明らかとなった▼全国紙の記者から「いわきの人はこの問題を深刻に考えていないのでは」との言葉を投げかけられ、どこか擁護する空気に包まれていると批判を受けた。正直なところ言葉に詰まった▼いわき信組に支えられてきた中小企業は確かに多い。だが「我が国の金融機関の歴史を見ても類例をみないほどに悪質な事案」(第三者委員会の報告書より)を引き起こしたことは事実。再生の道は険しいが、まずは『新生いわしん』の歩みを見つめたい。