全国各地でクマによる人的被害が多発している。負傷者ほか死者も2桁になるという最悪の状況。秋田県知事の自衛隊要請もよくよくのことだろう▼興行界では、牙と爪を覆ったレスリングベアを登場させ、人間と闘わせたが、力が強いだけでコントロールが効かず、結果的になすすべがなかったそうだ。今思うとある空手道流派の米国人が〝熊殺し〟の異名で一世を風靡したのが懐かしい▼フランス料理のジビエとは、すでに一般的だが昭和40年代半ばごろ、狩猟で得たイノシシ、キジなどを剥製にして自宅に飾ることが流行した。その肉などを提供する飲食店も存在した。今でもその建物の近くを通ると当時の雰囲気が思い出される▼木の実などを主食にしていたはずが、凶作のためか里に下り食物をあさる。人間を恐れず危害を加え、凶獣のそしりを受けながら、銃弾に倒れる。二日酔いの朝に飲んだ苦みの強い「熊の胆」に救われたこともあったのだが。