ノルディックスキージャンプの伊藤有希という選手はいったいどれだけ強く優しいハートの持ち主なのだろう▼銅メダルを獲得した混合団体。『4年前の呪縛』から解き放たれ、安堵とうれしさで涙を流す高梨沙羅に駆け寄って、抱きしめ、涙を拭いてあげる伊藤の姿が映し出された▼年齢は伊藤が2歳上。ワールド杯個人総合優勝4度を含む歴代最多63勝の成績とマスコミからアイドル扱いされる高梨の陰でコツコツと実績を積み上げてきた。同じ北海道上川郡生まれ。お互い今回を含めて冬季五輪は4度出場した▼伊藤は、あの前回北京の混合団体メンバーだったが今回は外された。丸山希の銅メダルに沸いた個人ノーマルヒルでも伊藤は17位に終わったが、悔しさと失意のなかでも、テレビ局の通り一遍のインタビューに健気にこたえていた。映画にもなった長野五輪でのテストジャンパ―西方仁也を思い出す。彼も団体戦での悲哀から強いハートを見せた選手だった。