著 者:佐川 光晴
出版社:集英社
価 格:1980円(税込み)
周りに翻弄されながらも信念曲げずに生きる少女
これは、主人公・真記が12歳から大人になるまでの波乱万丈の人生を描いた物語だ。
小学生の真記には、両親と生まれたばかりの弟がいる。両親が共働きで家にいることが少ないため、買い出しや夕飯の支度を真記が1人で行っていた。
ある時、伯父の家に泊まりに行って、伯父夫婦の優しさに触れた真記は思わず愚痴をこぼしてしまう。そんな伯父夫婦から養女なることを仄めかされ、動揺する真記。家に帰り様子を見てみるが、両親に変わったところはなく、真意はわからないままだ。
時が経っても養女の話が頭から離れず、真記は次第に「どう生きていくかは自分で決めたい」と強く夢見るようになる。高校を卒業後は東京の大学へ進学し、両親からの仕送りとバイト代でどうにか暮らしていた真記だが、ある日、手紙で父の会社が破産したことを知らされる。今後は仕送りもできず、弟も伯父夫婦の養子になることが決まり、両親もどこか遠くへ行くという。先が見えない絶望の中、真記がとった行動とは?
周囲の人々の事情に翻弄されながらも、自分の信念を曲げず突き進む真記の姿に、人を勇気づけられる一冊だ。
(鹿島ブックセンター勤務)
※紹介する人:池田 理紗さん