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ボタニカルアート

いのちを描く(モッコウバラ)

初夏に黄色い八重咲きの花

 久しぶりに青空になった。新緑がきらきらと光ってツツジやフジの香りが心地よい。
 玄関の前には大輪の紅いバラがあって、長い間眼を楽しませてくれていたが昨年秋、数輪の花を咲かせた後、突然枯れた。木が古くなっていて寿命だったのかもしれない。
 その傍に知人からもらったモッコウバラの苗を植えていたのが、あっという間につるを伸ばして人の背丈より大きくなり、今年は黄色い八重咲きの花をたくさん付けた。モッコウバラは中国原産で常緑つる性。通常は黄花の八重咲きが多いが、白花や一重咲きもある。生育は早く大量に花を付ける。茎にはバラの特性である棘が無く、病虫害にも強いので扱いやすいという。
 なるほど、植えたと思ったらたちまち大きくなった。その成長力旺盛な苗を傍に植えたので、古木のバラが負けて枯れてしまったのだろうか。
 だとしたら紅と黄色のバラのコラボはさぞ綺麗だろう、と浅薄な考えをして傍に苗を植えた自分に原因があることになる。知らぬこととはいえ、老骨に鞭打って深紅の大きな花を咲かせてくれていたバラに引導を渡してしまったことになった。この罪滅ぼしはどうすればよいのだろうか。代替わりの黄色いバラを大切にしなくてはならないのだろうが……。

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