福島高専(山下治校長、生徒数1072人)の創立60周年記念式典が3日、いわき芸術文化交流館「アリオス」大ホールで開かれた。学生と教職員をはじめ、文科省などから関係者1313人が出席。同校の創立趣旨や歴史を振り返りながら、政府が来春の設立に向け整備を進めている福島国際研究教育機構との連携などを視野に、地域を担う次世代の人材育成の拠点として責務を果たすため、さらなる努力と発展を誓った。
福島高専は昭和37年、高等専門学校制度の東北地方唯一の第1期校として機械工学、電気工学、工業化学の3学科で平市に開校。当時は平高専だったが、同41年の合併に伴い名称を変更した。
「広く豊かな教養と人間力の育成」「科学技術の基礎的素養と創造性及び実践性の育成」「固有の才能の展開と国際的な視野及びコミュニケーション能力の育成」を教育理念に、これまで本科生8896人、専攻科生470人を輩出。グローカルな視点を持つ次世代技術者の育成をはじめ、東京電力福島第一原子力発電所事故を背景とした、長期に及ぶ廃炉作業に貢献できる原子力分野の人材育成に取り組む。
式典では、山下校長がこれまでの歩みや高専制度について振り返り、同窓生や保護者、地域住民ら関係者への感謝の気持ちを言葉にしながら、<1>地域の次世代技術者の育成を見据えた福島国際教育機構との連携<2>新産業の創出と若者の地域離れを見据えた福島KOSENコモンズの整備――を60周年記念の新たな取り組みとして発表。「地域人材育成の充実、若者の福島離れの脱却を目指し、地域経済が以前より活気のあるものになるよう精進を重ねていきたい」とあいさつした。池田貴城文科省高等教育局長、谷口功国立高等専門学校機構理事長、内田市長らが祝辞に立った。
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