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江戸時代の「平」知る企画展 6月まで暮らしの伝承郷で開催中
中央台・県立いわき公園内の市暮らしの伝承郷で、企画展「磐城平城の絵図と城下の年中行事」が開催されている。会場には城絵図や城下絵図、民芸品やパネルなど約50点を展示。江戸時代のいわき地方を治めた磐城平藩の城下町の様子や、武家や町人たちの暮らしについて紹介しており、現代につながる姿を深く知ることができる。
また展示に合わせた催しとして、夏井芳徳館長による展示解説や、茶道や香道の体験も組まれている。6月18日まで(会期中展示替えあり)。
磐城平城の絵図のうち、正保平城絵図控は、正保元(1644)~慶安5(1652)年の間に制作されたと考えられている。
夏井館長は「この絵図の城下町には、本町通り沿いに一町目から三町目までしかない」と指摘する。時代が下ると三町目から分かれて、四町目と五町目が確認されるため、江戸時代の初期と中期以降では町の区割りが異なることが分かる。
現在の平鎌田町の曲がり角が、正保平城絵図控の当時は2カ所しかないことなど、夏井館長は「平の街がいかに拡張していったか、その様子をうかがえる貴重な史料となっている」と話す。
「磐城平古地図」と「奥州磐城平城絵図」の比較も興味深い。どちらも城地や武家地、道、町屋が色分けされているが、後者は延岡(現在の宮崎県)に移封された内藤家が、磐城平を懐かしんで作らせた。コピーやスキャンなどの機械がない時代、ほぼ同じに描かれた点は、技術の高さと望郷の念が感じられる。
城下の年中行事に関しては、ダルマ市や酉(とり)小屋、じゃんがら念仏踊りなど、現代でも行われている取り組みのいわれを解説している。
七夕も江戸時代後期の藩主・安藤家の飾りは、上方の影響を受けていることに触れられる。同館では安藤家の協力を得て、会期中に実物の貸し出しを受ける予定となっている。