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郡山の手芸「倫敦工房」の作品展 24日まで好間のカフェ&ギャラリー結で
郡山市で手芸工房「倫敦工房」を営み、いわきにも教室を持つなど、いわき市とゆかりの深い手縫い作家・橋本佳園子さん(83)と、教室生の作品展「蘇(よみがえ)るむかしきもの展―国井宗紀先生を偲んで―」が24日まで、好間町榊小屋のカフェ&ギャラリー結(ゆい)で開かれている。
今年に入ってから最愛の娘と友人を相次いで亡くし、ふたりへのあふれんばかりの愛情が込められた今展。友人から譲り受けた大切な着物や帯を、普段使いできる小物などに蘇らせた作品約500点が飾られている。
作品の素材になっているのは、多くが茶道裏千家淡交会いわき支部に所属した故国井宗紀(本名・美紀)さん=当時82歳=から生前譲り受けていた着物や帯だ。
国井さんとは共通の知人を通して親しくなり、内郷教室では茶道の手ほどきを受けたことも。東日本大震災発生時の支援プロジェクト「うつくしまアートキャラバン」にも快く協力してくれた。「生き方が潔く美しく、茶道を全うした自慢の友人」と振り返る。
1年前の作品展の際、展示会場で「着物を使ってほしい」と託された。着物は一目で分かる上等品ばかり。縫い目を丁寧にほどいて、ポーチやタブレットケース、袱紗(ふくさ)などに仕立て直した。
今まで「着物をほどいて洗い、反物に戻す」という手間がかかる下準備は、娘の友見さんの仕事だった。しかし今年1月初め、友見さんが53歳の若さで急逝。そして涙も乾かぬうちに、国井さんの訃報が届いた。
何度も涙し、くじけそうになりながらも、「着物を託してくれた国井さんの気持ちに応えたい」と、教室生とともに友人の残した着物に向き合った。
会場には小さな祭壇に国井さんの思い出が、茶花の設えとともに飾られている。作品の一部は家族に無償で還元したもので、思い出の着物地に包まれた友人の穏やかな遺影を目に、「私なりの供養ができたと思う」と橋本さんは安どの表情を浮かべる。開催時間は午前11時~午後4時。