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原発処理水の海洋放出 いわき市独自のモニタリング 市内3カ所で海水採取
東京電力福島第一原発の汚染水を浄化した後の処理水を巡り、8月24日から始まった海洋放出について、市は15日、独自の海域モニタリング実施体制について発表した。市によると、海域モニタリングは四倉漁港、江名港、小浜漁港で実施しており、海洋放出前日の8月23日に加え、9月7、25日、10月19日の計4回、海水を採取したが、いずれも放射性物質トリチウムの値は検出限界値未満だった。
内田市長は海洋放出の日程が正式に決まった8月22日、さらなる理解醸成を図る観点から、市民の安全・安心のため、市長直轄チームによる独自の監視体制を敷く方針を示していた。
ただ9月8日に台風13号に関連した記録的大雨が発生し、いわき市で大きな被害が生じ、災害対応を優先してきた経緯がある。10月31日をもって、豪雨に向けた市の配備体制が縮小されたため、本格的に始動することになった。
市は「ALPS処理水風評対策・モニタリング実施連携会議」を設置し、10日に初会議を開催した。大嶺常貴・危機管理部長を会長、室拓也・原子力対策課長を副会長として、海域モニタリングや風評の抑制に努める。
構成員には▽政策企画▽創生推進▽農政流通▽生産振興▽水産▽産業チャレンジ▽観光振興▽学校教育▽学校支援――の各課長も加わり、担当課ごとに情報収集を進めながら、検査結果の公表を展開していく。メンバーには農林水産業や観光にとどまらず、学校給食にいわき市の水産物ブランド・常磐ものを採用する観点から、市教委からも加わった。
海域モニタリングは、市職員が四倉漁港、江名港、小浜漁港に赴き、それぞれ海水2リットルを採取。日本原子力研究開発機構(JAEA)の南相馬市の施設で、トリチウムの検出下限値を1リットル当たり10ベクレル未満として、測定を委託している。
海水から同20ベクレル以上のトリチウムが検出された場合、魚類・海藻類も調査する。また東電の放出停止基準に合わせて、同30ベクレル以上の場合には、国・東電と情報共有を図りながら、東電に速やかな原因調査を求めていく。
本年度は20日までの第3回と、来年1月以降の第4回の海洋放出の期間中に、海域モニタリングを予定する。来年度からは四半期に1度の頻度で測定する。採取地点は、国や東電が設けるモニタリング地点から外れる場所を選定しており、必要に応じて追加・変更をする。測定結果は市ホームページ<こちら>に掲載する。