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上川外相 福島第一原発など視察 県漁連・野﨑会長「国際社会の理解重要」

 上川陽子外相は19日、9月の就任後初めて福島県を訪問し、東京電力福島第一原発と、市観光物産センター「いわき・ら・ら・ミュウ」を視察したほか、小名浜魚市場で県漁業協同組合連合会(県漁連)の野﨑哲会長と懇談した。
 福島第一原発の処理水の海洋放出を巡っては、中国が日本産水産物の輸入規制を続けており、外相自ら現場を確認し、関係者から話を聞くことで、国際社会の理解をより深める狙いがある。
 上川氏は国際会議や二国間会談を利用し、多核種除去設備(ALPS)で浄化し、海洋放出される原発処理水の安全性を伝えてきた。海洋放出は8月24日から計3回にわたって展開され、現時点で問題は生じていない。
 県漁連の野﨑会長との懇談は冒頭のみが公開され、上川氏は「地元漁業者の皆さまが風評被害含め、さまざまな困難に立ち向かってきたことに敬意を表する。その思いが持続できるよう、しっかりと国内外にメッセージを発信する」と語った。
 野﨑会長は改めて海洋放出に反対の姿勢と、完了時に初めて漁業者の理解が得られるとの考えを強調。「これからも緊張感を忘れずに続けてほしい。IAEA(国際原子力機関)をはじめ、国際社会の理解が重要なので、外務省に因る部分が大きい」と呼びかけた。
 これに先立ち、福島第一原発では廃炉状況とともに、ALPSや、処理水を海水で希釈する設備を見て回った。いわき・ら・ら・ミュウでは、内田市長や上野台豊商店の上野台優代表取締役らの案内で、メヒカリの唐揚げなどを堪能した。
 一連の日程を終えた後、上川氏は記者団の取材に応じ、中国の禁輸措置に関しては「引き続き科学的根拠に基づく対応を求める」と述べた。
 北海道函館市の海岸で、大量のイワシが打ち上げられた現象に、英国の大衆紙が海洋放出と関連付けた報道を行った件に対し、外務省は「不適切な報道」と申し入れたが、上川氏も丁寧な説明によって、国際社会の支持を得ていくと話した。
 地元水産物の試食にも触れ、大変感動したと振り返った。また常磐ものの振興策として、日本と、東南アジア諸国連合(ASEAN)の友好協力50周年を記念する特別首脳会議で提供され、出席者の評判が良かったと紹介した。

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