大堀彩、27歳。富山県高岡市に本拠を置くバドミントンの強豪「トナミ運輸」に籍を置き、日本代表として世界各地の国際大会を転戦している169cmのサウスポーだ。強さの指標となる女子シングルス世界ランキングは15位(昨年12月12日現在)、日本国内ランキングでいえば〝女王〟山口茜選手(26)に次いで2位で、その後を奥原希望選手(28)が猛追している。
今年7月に開幕するパリ2024オリンピックの出場権は、4月28日まで行われる国際大会の成績をもとに作成される「パリ・ランキングリスト」の上位選手に与えられる。前回、東京2020オリンピックでは山口、奥原両エースに後れをとったが、昨年1年間で急成長を遂げた大堀選手に、初の五輪切符を手にするチャンスが訪れている。
父親の均さん(現トナミ運輸バドミントンチーム、日本バドミントン協会ジュニアナショナルチームヘッドコーチ)は栃木県、母親の麻紀さんは兵庫県出身。日体大バドミントン部の同級生で、2人とも中学生のころから各年代の全国大会で好成績を収めたプレイヤーだった。
大堀選手は、教員である均さんの勿来高赴任に伴って、一家でいわき市へ移住する。後田町のほうとく幼稚園に入り、中央台北小で学んだ。高い指導力を買われた均さんは双葉郡富岡町の富岡高に異動し、大堀選手は小学4年生から富岡一小―富岡一中―富岡高と進んだが、中学生になるまで市内のクラブチームで、麻紀さんから指導を受けた。
昨年の杭州アジア大会女子シングルスで銅メダルを獲得したのが自信となり、大堀選手は中国や韓国、台湾の世界ランク1位経験者とも互角の戦いができるまでに進化した。
「東京五輪は、まだ自分が出場することに現実味がなかったですね。あの2人(山口、奥原両選手)とはまだ差があったし……。でも五輪は小学生のときからの夢。そのチャンスをもう少しでつかめるところまできたのだから逃したくない。1日1日を大切にしながらやりきりたい。どんな結果になろうとも」
ユニホームにはいわき市から応援するスポンサー、小名浜の米専門店「相馬屋」のロゴも光る。生き残りをかけたランキング対象の国際大会は、残り8つ。会津若松発いわき・富岡・高岡経由パリ行きの夢の列車が突っ走る。
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