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薄磯の伝承館 外国人から見た震災テーマに企画展 国際交流員の特別講話も
いわき震災伝承みらい館は3月31日まで、薄磯三丁目の同館で、東日本大震災における海外からの視点をテーマに、企画展「外国人から見た東日本大震災」を開催している。海外の報道や在日外国人の反応、外国人のアンケート結果などをまとめたパネルが展示される中、21日にはアイルランド出身で、市国際交流員のエイディーン・シングルトンさん(26)を講師に招いた特別講話を行った。
東日本大震災と東京電力福島第一原発事故を知ったのは、母国で流れていたニュース。アイルランドでは地震に加え、台風などの自然災害がめったになく、原子力発電も禁止されているため、未曽有の災害を見聞きし率直に恐怖を覚えたという。
日本に知り合いのアイルランド人がいたことから、当時は「家族と一緒に(みんな)大丈夫だろうかと心配した」。原発事故については当初は不安だったが、(理解を深め)福島に来ることについて抵抗感はなかった。地震を頻繁に経験するようになったのは来日してからで、いわきに来てから初めて起震車を体験したとも。
シングルトンさんは、語学指導などを行う外国青年の招致事業「JETプログラム」の一環として来日し、2021年11月から市男女共同・多文化共生センターの職員として活動している。
普段から保存食を備蓄するなど、震災への備えについても取り組んでおり、「いわきでは人々の優しさが特に印象に残っている。強い地震が起きた時も、同僚から『大丈夫ですか?』とのLINE(ライン)がきて、怖いことがあっても1人じゃないと思うようになった」と、日常的に精神的な支えがあることに安心を感じていた。
講話には市民や東日本国際大に通う留学生など約20人が訪れ、出席者たちはシングルトンさんに「具体的な備えとは何ですか」「原発事故についてどう思うか」などと質問をするなどし、外国から見た地震について理解を深めていた。