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住民の移動手段確保へ 川前で自家用車使った送迎サービス始まる
いわき市の公共交通空白地域を解消するため、自治体やNPO法人が主体となって乗客を運ぶ「自家用有償旅客運送」が26日から、川前地区で始まった。この取り組みは、バスやタクシーのみでは十分な移動サービスが提供できない地域を対象に、自家用車を用いて送迎を担う仕組みで、川前地区の住民に向け、広く移動手段を確保する狙いがあり、観光客の周遊にも活用していく。
市は現在、地区の実情に応じて、定額タクシーの運行やボランティア輸送の実施を展開し、市民の移動手段確保に努めている。川前地区は市内でも高齢化が著しく、人口828人のうち、65歳以上の高齢者は453人と、全体の54・7%を占めている(昨年10月1日現在)。
一方で地区内にはスーパーマーケットや医療機関、理容店・美容院などはなく、住み慣れた土地で暮らし続けるため、川前町下桶売の「NPO法人小さな拠点おおか」が、自家用有償旅客運送に名乗りを上げた。
小さな拠点おおかは昨年2月に発足し、古民家をリノベーションした建物を利用して、健康教室や茶話会を開催しているほか、地元の食材を使ったランチも展開し、川前地区のにぎわい創出を図
っている。
送迎車両の名称は「おおか号」。予約に応じて運行するデマンド型で、川前地区を発着地とする必要がある。自宅から小さな拠点おおかやJR川前駅、小白井停留所、市川前支所に向かうなど、住民が地区内のみで利用する場合には1人片道100円。隣接する田村郡小野町までは同2千円(2人は15
00円、3人以上は1千円)。
希望者は小さな拠点おおかに登録した上で、1運行日前までに受け付けを済ませる。観光客は川前地区のみに限る。初日の26日には現地で出発式が行われ、市と小さな拠点おおかがパートナーシップ協定を締結した。
(写真:車両の運行を記念して行われたテープカット)