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彫刻家・安藤榮作さん 泉ケ丘のギャラリーいわきで新作展 2年ぶりゆかりの地で
かつて田人、久之浜にアトリエを構えて創作活動を続けるなど、いわきとゆかりの深い平櫛田中、円空両賞受賞作家の彫刻家安藤榮作さん(63)=奈良県天理市在住=の個展「安藤榮作木彫新作展―宇宙の果実たち―」が9日まで、泉ケ丘二丁目のギャラリーいわきで開かれている。安藤さんが2年に1度、同ギャラリーで開いている個展で、今展では新作木彫とドローイング合わせて約40点を並べた。
安藤さんは1961(昭和36)年、東京都出身。東京芸大彫刻科を卒業後、90年(平成2)にいわきに移住した。山間部で暮らしたのち、海のある久之浜へ。2011年の東日本大震災による津波と直後の火災で自宅を失い、家族とともに奈良県に転居した。
転居後は震災や原発事故へのメッセージを込めた作品を数多く発表し、話題を呼んだ。平櫛田中賞(2017年)、円空賞(2019年)など日本の木彫美術を代表する賞も受賞している。
安藤さんは原木や廃材を手斧でたたき刻むようにし、作品を生み出している。今年に入り、本展のタイトルにもなっているテーマ「宇宙の果実たち」で新境地を切り開いた。思考をそぎ落とし、シンプルに素材と向き合いながら削り出された作品は、重力から解放されたように軽やかだ。
「より自由になり、童心に返ったような気持ちで制作しています」と安藤さん。画面を叩くように短いストロークを重ねるドローイングは、宇宙や自然と対話する安藤さんの思考の過程も現れている。開廊時間は午前11時~午後7時。5日は休廊。
(写真:「より自由になった」作品たちと安藤さん)