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平・田町の火災1カ月 被災テナント44軒に 再建にまい進する店主たち

 平字田町の繁華街で計13棟の建物が被害を受けた大規模火災から、26日で1カ月が経過した。市消防本部は25日午後、現場の焼損床面積が計1224・89平方mで、被災したテナントは当初の37軒から44軒に増えたと明らかにした。がれきの撤去は地権者の合意が得られれば「早ければ2~3カ月」(内田市長)の見通しだが、現場ではいち早く再建にまい進する店舗も少なくない。
 「深刻に受け止めても仕方がない。頑張ればまた楽しいことがある」。そう明るく語るのは、八尋英憲さん(59)。営んでいたタコス店「SOL」が全焼したが、親交のあった向かいのスナック店の一角を借り、火災の2日後から再開した。
 5年ほど前から現在の場所に構え、常連客に加え、出張で来市した人も訪れる店だった。火災のあった5月26日は午前4時まで営業し、昼前からの約束に備えて店内にいたところ、扉をドンドンとたたく音に気付いた。
 「何事かと思って外に出ると、火災報知器が鳴り響いて、火の手が上がっていた」。一目でこれはダメだと直感し、身の回りの物を持ち出した八尋さん。「せっかくコロナも明けて、お客さんも戻ってきたばかりだったのにね」と振り返る。
 しかし落ち込んでばかりもいられないと、がれきが広がる中、再びSOLの看板を掲げた。「後ろを向くより、前を向くほうがいいから」と打ち明ける。

 発生から1カ月。八尋さんは「まずは焼けた跡をきれいに片づけてほしい。そして期間限定でもいいので、焼け出された人たちが、仮設の店舗で営業できる仕組みができれば一番」と話す。もちろん現実には難しいことも理解しているが、「みんなが自分のように、店を再開できている訳ではない」と指摘した。
 また店舗の明かりが無くなったことから、「夜間は思った以上に暗いので、照明一つ付けるだけでも環境が変わる」と提案。何より田町が好きだから、一日でも早くもとの活気を取り戻してほしいという。「自分はよそから流れてきたひとりだが、みんなの優しさが心地いいので、この街に居着いたからさ」
 そうした熱意は他の店主にも力を与える。SOLと同じ建物で、2カ月前にスナック店をオープンしながら全焼し、いまは平字白銀町に移った「ZANA」の中村利男さん(45)は「八尋さんを見習いたい。このエネルギーをもらうため、店を開ける前に毎日来ています」と教えてくれた。
 八尋さんの当面の予定としては、8月6~8日のいわき七夕まつりで、自慢のタコスを屋台で販売すること。「また新たなスタートを切る」と強いまなざしを向けた。
 (写真1枚目:がれきが残る現場=25日夕 2枚目:スナック店を間借りして再開した八尋さん)

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