フラガールのふるさとで行われた全国大会として、18日にいわきアリオスで開催された「文部科学大臣杯 2024年全国高等学校フラ競技大会『第12回フラガールズ甲子園』」。今年は1都7県から22校・203人がエントリーしたように、県内外の学校がしのぎを削っている。一つの舞台に青春を懸けた高校生たちにより、そこでは文字通り筋書きのないドラマが繰り広げられていた。
<いわき湯本 仲間が支えてくれた>
現校名で、初の最優秀賞に輝いたいわき湯本。優秀賞の総合第2位まで表彰が終わり、まだ自分たちの学校が呼ばれていないことに、部長の石川絵麻さん(3年)は期待と不安の気持ちが入り乱れていた。
最優秀賞の学校はアナウンスを前に、自由曲で使った楽曲が流れる。「1、2秒過ぎたあたりで、ようやく1位であることが分かりました」。頭が真っ白になりながらも、自然とうれし涙が込み上げてきた。
前身の湯本が2018(平成30)年に初の日本一にを手にし、地元勢として優勝候補の一角に挙げられながら、19(令和元)年と、新型コロナウイルスによる中止を経た22年は2位、23年は4位に終わった。石川さんはプレッシャーがあったことは否定しない。「いままでの先輩方の応援もあって、きょうの日が迎えられた」と述べ、湯本時代から積み重ねてきた歴史が一つの形になったと話す。
チーム名の「Welina Mahalo(ウェリナ・マハロ)」は、愛を込めてありがとうとの意味を持つ。この精神をモットーに、見る人が笑顔になれるような舞台を目指してきた。
時に苦しい時もあったが、「同じ代のみんなが支えてくれた。本当に仲良しなんです」と石川さん。さらに同級生の活躍も刺激になった。野球部が夏の福島大会で快進撃を続ける姿をスタンドで毎試合応援し、8強まで駆け上がって王者・聖光学院を追い詰めた戦いぶりに感動した。「次は自分たちの番」とおのずとスイッチが入った。
充実感に包まれながら、次の代にバトンを渡す。真摯(しんし)に踊りと向き合う大切さを、後輩たちは受け継いでいく。
<磐城桜が丘 気持ち込めてアナウンス>
フラガールズ甲子園は踊り手だけでなく、裏方としても高校生が頑張っている。今年は37人が会場案内や写真撮影、取材を担った。その中でも毎年恒例の取り組みが、磐城桜が丘高放送局による影アナウンス担当だ。
同校の木幡凜音さん(2年)、久保木海有さん(同)、三保陽依さん(1年)が務め、各校の楽曲について紹介した。本番に向けて練習を重ねてきたが、特に難しかった点はそれぞれのチーム名に登場するハワイ語由来の表現。アクセントや音節に関して、総合司会の立原めぐみさん(FMいわきパーソナリティー)から指導を受けた。
昨年に続いて参加した木幡さんは「いわきを代表するフラを、より全国に知ってもらう機会に携わることができてうれしい」と話す。そして同じ高校生の晴れ舞台に携わることに胸を張る。「アナウンスの最後に『それではどうぞ』と声をかける部分に、一番気持ちを込めている」。彼女たちによる後押しもまた、大会の成功には欠かせない。
(写真1枚目:最優秀賞に輝いたいわき湯本 2枚目:影アナウンスを務めた磐城桜が丘)