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東日本台風から5年 平下平窪・江尻区長 早めの避難と経験伝えていく

 2019(令和元)年10月12日から13日にかけ、いわき市を襲った台風19号によって夏井川や新川が決壊・越水し、広い範囲で浸水被害を受けた「東日本台風」から丸5年を迎えた。
 高齢者を中心に関連死と救助中の事故を含め15人の尊い命が奪われたほか、4985棟の住宅が床上・床下浸水に遭った。また基幹浄水場・平浄水場(平下平窪)の水没によって断水が生じ、復旧活動のみならず、市内全体で日常生活や企業活動に大きな影響を与えた。
 「行政区としては早めの避難を呼び掛けることを第一にしたい」。平31区(平下平窪)の区長で、下平窪自主防災会長の江尻光芳さん(72)=平下平窪寺内=は5年前の経験を基に強調する。生まれた時から平窪で生活し、夏井川が決壊する事態を目の当たりにすることはなかった。「まさに想定外だった」
 東日本台風当時は区の役員を務め、19年10月12日は夕方から近くの下平窪公民館に集まっていた。翌13日午前0時を回ると、雨が上がったことから自宅待機に。しかし同1時ごろに「平窪が浸水している」と連絡を受け、再び家の外に出て歩き始めると辺りは水浸し。やむなく自宅に引き返したが、床上浸水したため2階への垂直避難を余儀なくされた。
 平下平窪では3カ所の堤防が決壊し、国道399号を越えて浸水。4人の高齢者が亡くなった。「水が引かず、身動きが取れずに助けることができなかった」と悔やむ。

 同じような悲劇を繰り返さないよう、昨年3月に福島高専と連携した地区防災マップを製作した。あらゆる自然災害に対応できるよう、道路の冠水場所や浸水高に加え、公共施設や自動体外式除細動器(AED)の設置場所、消火栓の位置などあらゆる情報を盛り込んだ。
 今年5月からは地区防災計画に基づき、アナログとデジタルの情報を融合した「アナデジサイネージ看板」の設置を始めた。これも福島高専と協力した取り組みで、河川水位や気象情報、地区防災マップをQRコードで読み取れるほか、当時の浸水の深さや洪水の流れの方向をアナログで示している。9月までに計画した全26カ所に立てられた。
 いずれにも「んだから いったっぺ 早く逃げろって」のメッセージを掲げる。地元の平四小の子どもたちが手がけた平窪防災かるたの「ん」の読み句だ。地元は水害で家屋を取り壊したことで、一時的に空き家が増えたが、新たな分譲が始まって移住してきた人も多い。「東日本台風を知らない人たちにも、分かりやすく伝えていきたい」と話す。
 (写真1枚目:夏井川の決壊箇所の一つ・平下平窪字四左エ門内 左上は2019年10月13日。点線内が同じ場所にあたる 2枚目:当時を振り返る江尻さん)

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