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四倉に大衆食堂「大黒家」 鳥居塚公雄さん 手間惜しまずおいしさ追求

 四倉町に今年3月、大衆食堂がオープンした。その名もいわきではなじみ深い大黒様の宝くじにあやかった「お食事処 大黒家」。
 平の街中で長年、料理屋を営んできた鳥居塚公雄さん(72)が心機一転、装い新たに蕎麦(そば)とうどんを中心に、地元を盛り上げるため〝常磐もの〟の天ぷらや刺身、煮魚などの和食も提供しており、鳥居塚さんは「ご縁があってこの場所で店を始めたので、四倉の皆さんにも喜んでもらえるよう頑張りたい」と意気込んでいる。
 鳥居塚さんは15歳で料理の道を歩み始めた。市内や東京の寿司屋などで修行を重ね、料理人に。市内の文化施設の食堂や観光施設でも腕を振るった後、1986(昭和61)年に平市街地へ日本料理屋を開業した。
 35年ほど経営したが、東日本大震災、コロナ禍などで外食産業が逆風を受ける中、店を手放すことに。生活のため飲食店に勤務することも考えたが、偶然、四倉町上仁井田の国道6号沿いにあった居抜きの空き店舗と出合った。
 紆余曲折、再び店を構えると腹を決めてからの行動は早かった。厨房器具を揃え、自らカウンターを作り直すなど改装を進めた。目の前に宝くじ売り場があることから、店の名前は「いわきで宝くじといえば大黒様ですし、商売繁盛の意味も込めて」と、市民おなじみの「だいこくや」に。
 店内の席は、カウンターとテーブル、そして小上がりを合わせて最大20人ほど。かつては従業員を雇っていたこともあったが、以前の店と比べると半分程度の規模となり、今は妻の良江さん(73)と二人三脚で切り盛りしている。
 立地も郊外のロードサイドに移るなど環境は大きく変わったが、主力メニューの蕎麦、うどんのめんつゆは既製品を用いず出汁(だし)を取るこだわり、メニューに並ぶメヒカリをはじめとする〝常磐もの〟の魚介の天ぷらは、作り置きすることはせず注文を受けてから揚げている。
 「手づくりにこだわるのは、店は変わっても料理人としてのプライドから。お客さんに『おいしかった』と言われるのが何よりもうれしいし、そういう手間は惜しみません」。出来たて熱々の天ぷらは好評で、中にはフグの唐揚げや金目鯛の煮つけなど、かつて営んでいた日本料理店を彷彿(ほうふつ)とさせる一品も。秋が深まるのに合わせ、スッポン、アンコウなどの温かい鍋やすき焼きも考えているという。
 営業時間は午前10時~午後3時、午後5~9時。定休日は第1、3水曜日。電話は(32)8888。
 (写真:地域に愛される大衆食堂へ。四倉に大黒家を開業した鳥居塚さん)

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