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いわき市海竜の里センター跡地巡る部会発足 26年4月から新たな利活用目指す
今年3月末に閉園した大久町の「いわき市海竜の里センター」を巡り、2026(令和8)年4月からの民間事業者による新たな利活用を目指し、地元関係者が立ち上がった。久之浜・大久地区復興対策協議会に、跡地活用検討部会を設け、まずは来年5月から6月に予定する市場性の把握に努める「サウンディング型市場調査」に向け、情報収集・発信を展開していく。
市海竜の里センター誕生のきっかけは、1968(昭和43)年10月、大久町の大久川から首長流・フタバスズキリュウの化石が発見されたことにさかのぼる。地域おこしとして「海竜の里づくり」が持ち上がり、政府が全国の自治体に1億円を交付する「ふるさと創生事業」を基にし、91(平成3)年6月にオープンした。
最盛期には年間約20万人が来場。桜の名所や沢遊びの場として県内外から多くの人が足を運び、平字手掴にあった遊園地・いわきプレイランド「ペピー」から移設した電動遊具も人気だった。
しかし東日本大震災・東京電力福島第一原発事故や、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受けたほか、施設の老朽化が進んだため、市は昨年12月の市議会定例会に用途廃止の条例改正案を提出し、営業終了が決まった。来年1月からは残った観覧車などの撤去工事に着手する。
このままでは地域から憩いの場が無くなってしまう――。少子高齢化・人口減少の中で、地元の将来について考えるため、17日に市久之浜・大久支所で最初の部会が開かれた。部会長には新妻英正さん(元いわき市副市長)が就き、区長会や商工会、漁協、JA、婦人会、子ども会育成会、こども園の代表ら計10人で構成されている。
第1回部会の席上、福島高専によるアンケート調査の実施が報告された。同校ビジネスコミュニケーション学科・大仁田香織准教授の研究室によって、地域課題と跡地利用に関する質問項目を設定。ウェブと紙の両方で、来年1月から久之浜・大久地区を対象に行われる。
市観光振興課によると、施設の直営は現実的ではないため、民間資金活用による社会資本整備(PFI)の導入が想定されている。部会での議論を重ね、サウンディング型市場調査の結果を踏まえ、来年9月に最終報告をまとめる。
この結果を交えながら、来年9月から10月にかけて、事業内容や企画提案を基にした「公募型プロポーザル」を実施する。
新妻さんは「今夏も閉園したことを知らずに、遊びに来ていた人たちがたくさんいた。また久之浜こども園では(隣接する)広野町の二ツ沼総合公園まで行かざるを得ない」と指摘。部会を通じ、久之浜・大久地区が一体となって機運を高めていく姿勢を示した。
(写真:跡地利用について意見を交わした部会)