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世界にひとつ いわき湯本高の卒業証書に遠野和紙 統合機に伝統継承

 永禄年間(1558~70)から続くとされる遠野和紙の製作専用工房、遠野町入遠野の「学舎(まなびや)」では連日、いわき湯本高(阿部学校長)の卒業証書づくりが行われている。
 遠野地区では旧遠野高の卒業生に遠野和紙の卒業証書を贈る伝統が根付いており、いわき湯本高では旧遠野高との統合を機に伝統を継承。原料の楮(こうぞ)、トロロアオイの栽培にも取り組んでおり、20日には3年生有志が自身の卒業証書づくりのため、和紙漉(す)きに臨んだ。
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 遠野地区では、遠野和紙最後の職人瀬谷安雄さんが2014(平成26)年に亡くなった後、400年以上の伝統をいかに受け継いでいくかが課題だったが、市が翌年から地域おこし協力隊の制度を活用し、和紙の保存継承を担う人材の確保に尽力。紆余曲折の末、地元有志でつくる「伝統工芸遠野和紙・楮保存会」の支援も得、歴代の協力隊員と和紙の伝承に取り組んでいる。
 遠野和紙の卒業証書は小、中学校、旧遠野高の伝統として浸透し、長く瀬谷さんをはじめ技術を継承する有志が製作した寒漉きの和紙を用いてきたが、6年ほど前からは生徒自らが「生きた教材」として楮やトロロアオイを栽培するなどし、年間を通じて遠野和紙の工程や紙漉きの技術を学んできた。
 旧遠野高校では全員が手作りの卒業証書で巣立っており、伝統を引き継いだいわき湯本高でも統合後は遠野和紙の卒業証書を使用。ただ枚数などの都合上、全員手作りという訳にはいかず、手を挙げた有志が和紙漉きに挑んだ。
 本年度は10人。厚みを均等にすることは難しく、生徒たちは四苦八苦。同保存会の会員や協力隊員の親身な指導を受けて何とか「世界にたったひとつ」の卒業証書の原型を作り上げた。参加した志賀苺香(17)、田仲美優(18)さんは何度も挑戦し、ようやく形に。
 「自分が作った和紙で卒業できるのは他では体験できない。特別感がある」「伝統の和紙漉きに携われ、それを卒業証書にできるのがうれしい」と笑顔を見せていた。
 同校の卒業証書は予備を含め280枚ほど製作し、今年は28日まで、来年は1月6日から卒業式に間に合わせるため、同保存会の会員、協力隊員が急ピッチで作業を行うという。
 (写真:卒業証書のため紙漉きに挑戦する生徒たち)

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