小名浜海星高海洋工学科3年の渡辺諒さん(18)、大槻悠斗さん(17)は、海洋プラスチックごみの問題を受け、海岸清掃で拾ったペットボトルキャップから釣り具のルアーを生み出した。創造的再利用を意味するアップサイクルに掛け、その名も「アップサイクルアー」。実際に魚を釣ることにも成功しており、ふたりは「身近な海を守りたい」と力強く語る。
県内唯一の水産系高校として、同校は海洋プラスチックごみの解決に取り組んでいる。渡辺さんと大槻さんは2年生の時から課題研究として学びを深めており、昨夏には学校近くの砂浜で清掃活動を行ったが、外国から出されたとみられるものも含め、改めて打ち上げられるごみの多さに驚いた。
ルアー作りに当たっては、3D(3次元)プリンターで型を成形するところから始まる。ペットボトルキャップを細かく切断した後、成型機に投入し、プラスチックが溶け始めたら勢いよく流し込む。最後に不要な部分を切断し、金具とおもりを付け完成となる。
できあがったルアーの色はペットボトルキャップ由来で、鮮やかな赤や青、緑とさまざまなカラーバリエーションに。強度やおもりの位置など試行錯誤を重ね、ルアーとしての性能を確かめた。
ふたりの成果を基にし、海洋工学科ではさらに環境に配慮したルアーを目指す。現時点で木くずによるルアーの試作が済んでおり、今後は食品システム科とも連携し、カキの殻や魚の骨などで挑戦する構想があり、次年度以降の生徒たちに引き継がれる。
渡辺さんは「海にまつわる高校として、海洋プラスチックごみの問題を取り扱えて大変有意義だった。後輩たちにはさらに研究を深め、より良いものを作ってほしい」と呼びかける。大槻さんは「海が好きなので、海面にごみが浮いていることを残念に思う。自分たちの活動を通じ、少しでもきれいになればうれしい」と話した。
(写真1枚目:3色のアップサイクルアー。茶色は木くずを活用した 2枚目:完成したルアーで釣りに挑んだ渡辺さん=右、大槻さん)