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いわきFCの新スタジアム クラファン検討 地域に還元する整備手法も
サッカー・J2いわきFCが小名浜港2、3号ふ頭間に、新スタジアム「IWAKI STADIUM LABO(仮称)」の整備候補地を決定した件を巡り、運営会社・いわきスポーツクラブは3日、市文化センターでサポーターに向けた説明会を開催した。
大倉智代表取締役が登壇し、年内から年明けにかけては不足が指摘されている駐車場の問題をはじめ、地元の意見を丁寧に聴いていく重要性を強調した。
またスタジアム建設に向けては、月面着陸に掛けて前人未踏で困難な目標や計画を意味する言葉から、「いわきFCを立ち上げた時に続いて、2度目の『ムーンショット』に挑んでいる気持ち。ぜひ皆さんにもご協力いただきたい」と呼びかけた。
いわきFCはスタジアムの例外規定を適用し、2023年シーズンからJ2に昇格。このためJリーグに対して今年6月までに基準を満たすスタジアムの計画を提出し、27年6月までの着工が求められている。完成は31年シーズンの開幕までとなっている。
説明会は、3月28日に整備候補地を公表してから一般に向けて語る初めての機会となり、約200人が参加。事前に寄せられた質問や会場からの声を踏まえ、スタジアム建設の進め方やサポーターの疑問に答えた。
この中で大倉社長は、インターネットを通じて資金を募るクラウドファンディングを検討していると示した。ただ完成まで約6年あるため、何を趣旨として集めるかよりも、どれだけの人がスタジアム建設に興味関心を持っているかの指標になると指摘。「お金がどうこうよりも、わがごと感を持ってもらえるクラウドファンディングを作るのも一つ」と述べた。
整備手法を巡っては民設民営を堅持し、民間事業者としてリスクを取る意向から、「現時点でスキーム(枠組み)は未定だが、われわれが主体となって、われわれが描きたいものを造ってくれる事業者に依頼したい。ただし地域に還元する施設として、地元にお金が回る仕組みを作っていければ」と語った。
会場からは防災面を懸念する意見も挙がった。市災害対策課によると、県が2022(令和4)年に公表した津波浸水想定を踏まえ、発生頻度は極めて低いもが、整備候補地は3~5mの津波に襲われる可能性がある。
大倉社長もこうした状況は把握しており、その対策も兼ねた構造を考えていくとし、1階部分を柱のみの「ピロティ式」とすることも一案であるという。同じ小名浜港周辺に立つ施設としては、イオンモールいわき小名浜が1階部分をピロティ式駐車場とし、津波を逃がす構造としている。
(写真:会場の質問に答える大倉社長)