任期満了に伴う市長選(8月31日―9月7日投開票)を巡り、静かな前哨戦が続いている。13日現在、立候補の意向を示しているのは現職の内田広之氏(53)=1期=のみ。公務の間を縫いながら、連合福島、いわき地区連合と政策協定を結び、市内の地区ごとに後援会発足式を行っており、1期4年の取り組みを強調しながら着実に地固めをしている。
内田氏は2期目の政策として、政府が2026(令和8)年度中の創設を進めている「防災庁」の機能誘致を目指しており、7日には官民連携の期成同盟会を発足。「市民によりそう」を旗印に、医師確保や企業立地の拡大、自らが掲げる教育環境の充実などを呼びかけている。
こうした中で、2期務めた前職の清水敏男氏(61)の動向が注目されている。当初は3月にも出馬表明するとみられていたが、5月に入っても「状況が整っていない」(関係者)ため実施には至っていない。
ただ10日からYouTube(ユーチューブ)に「いわき市政を考える」「イベントの誘致について」などのテーマで、現市政に対する思いを交えた動画を投稿。東日本大震災からの復興に当たったことや、太平洋・島サミットをはじめとする各種行事の誘致、文化・スポーツ振興に努めた実績とともに、人口減少に歯止めをかける政策を伝え、SNSを通じて拡散を図っている。
13日からは内郷綴町堀坂の県道いわき・上三坂・小野線で、市議や県議のころは恒例としていた朝の辻立ちも始めた。清水氏はいわき民報社の取材に「あくまで政治活動の一環。今後は未定」と明言は避けるが、「ショート動画で興味を持ってもらえれば」とも語る。
さらにこのほかにも立候補を模索する動きがあり、3人による選挙戦も想定される。
市長選に関しては、市議会の自民党を中心とした2会派が、内田氏の支援で一本化する方針を固めている。24年ぶりに保守合同で市長選に臨む見込みで、関係者によると、内田氏に近い政風会と、是々非々の姿勢を取る真政会が意見交換を開始している。
ある自民党関係者は「今夏の参院選は地元の現職を抱えており、全力で取り組みたいので、市長選は無風であればありがたいが……」とつぶやいていた。
(資料写真:いわき市役所本庁舎)
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いわき市長選…唯一表明した内田氏は地固め 清水氏は辻立ち 3人目の動きも
