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小名浜デイクルーズ 6月中に2代目観光遊覧船就航 原発周辺での運航構想も示す
小名浜デイクルーズの観光遊覧船「サンシャインシーガル」が、6月中にも新しい船で再開する方針が決まった。
23日には市観光物産センター「いわき・ら・ら・ミュウ」西側岸壁で関係者向けの公開が行われ、村田裕之代表取締役社長は「8月には小名浜道路が開通し、9月にはら・ら・ミュウが道の駅としてオープンするので、ぜひ多くの方に乗船いただきたい」と呼びかけた。
また同社の構想として、新規の船を導入し、東京電力福島第一原発付近での運航を通じ、広く復興の姿を伝えていく計画などが示された。
サンシャインシーガルは2021(令和3)年4月に就航。コロナ禍の中でも観光需要を支え、初日の出やいわき花火大会に合わせたクルーズも人気を博しており、今年3月時点で延べ8万3千人が乗船している。
ただ従来の観光遊覧船は大型のため、維持費や船員の確保が課題に。このため初代の運航は1月末で休業し、2代目となる小型船の準備を進めてきた。
初代と2代目を比較すると、長さは23・82mから14・62m、総トン数77tから19tと抑えた一方で、定員は150人から120人とほぼ変わらず、速力や乗り心地の面も前身を維持する。運航に関する免許も異なり、新たな採用が実現した。
6月めどの再開時には乗船時間は50分から40分に短縮し、1日当たりの本数を増やすほか、運航間隔を短くし、多くの人が利用しやすい環境とする。
関係者向けの公開に先立ち、ら・ら・ミュウで、小名浜港を学び楽しむ未来研究会の報告会が開かれた。
報告会では、村田社長が観光遊覧船の入れ替えについて説明した上で、今後の運営に対する展望を披露。小名浜港のみのサンシャインシーガルに加え、沿岸での運航を目指す二つの案を語った。
一つは双葉郡富岡町の富岡漁港を拠点に、福島第一原発付近まで向かい、船上から浜通りの復興に触れてもらうとともに、原発処理水の海洋放出が安全に展開されていることや、福島の海の美しさを知る「ホープツーリズム」。
もう一つはら・ら・ミュウの道の駅化に合わせ、四倉町の道の駅よつくら港との間を結ぶクルーズを設定する考えだ。
村田社長は「外海での運航に関しては課題が多いが、県の担当者や漁業者、関係団体の方々と意見交換しており、夢物語で終わらないよう頑張っていきたい」と意気込んだ。
(写真:関係者に公開された2代目サンシャインシーガル)