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いわき発の給水タンク 小名浜に製造拠点の堀富商工 震災教訓に市内4校へ寄贈
小名浜島に製造拠点を持つ、産業用包装資材の開発・販売を手掛けている堀富商工(本社・大阪府堺市、堀畑敏一代表取締役社長)は、東日本大震災での断水経験をもとに開発した組み立て式の災害用給水タンク「ホリフトウォーター」を市内の県立高校4校に順次1台ずつ寄贈する。
震災の記憶が薄れつつある、または未経験の世代に少しでも防災に対する意識を持ってもらいたいとの願いが込められ、まず震災時に地域住民の避難所となった磐城農業高(岡部富洋校長)へ。全校生を代表して寄贈式に出席した生徒たちは、感謝の気持ちを伝えるとともに、万が一に備え、地域社会に貢献できるような人材となれるよう学びを深めることを誓った。
堀富商工が小名浜に置く製造拠点「ウインテックス」は、東日本大震災の被災で約1か月間の断水を経験しており、その教訓から生まれたのが、組み立て式の災害用給水タンク「ホリフトウォーター」だ。
手作業で簡単に(5分ほどで)組み立てられ、約1tの水を衛生的に保管し、効率よく水を配ることができるのが特長で、トラックに載せることで給水車の代用にしたり、支援物資の仕分け用のラック、簡易浴槽としても使用できる。
震災では給水車の限られた蛇口に市民が殺到して長蛇の列ができ、給水スポット間の移動に時間がかかったたため、同社では給水車が災害用給水タンクに配水することで他地域への移動性が高まり、より多くの市民が長時間待たずに水を手に入れることができるとしている。
磐城農業高で3日に行われた寄贈式では、堀畑社長が「微力ながら福島県の将来を担う若い世代の後押しとなれば」と岡部校長に目録を渡した。
同社では23日に勿来工業高、24日に小名浜海星高、その後は平工業高にもそれぞれ1台ずつ寄贈していく。
(写真:手作業で組み立てられる災害用給水タンク)