「一つの判定で勝利が変わるかもしれない。緊張感を持って臨んだ」。25日にヨークいわきスタジアムで行われた「第107回全国高校野球選手権福島大会」の決勝で、球審を務めた大滝忠明さん(30)は落ち着いて試合を振り返った。
高校野球の地方大会で球審を担当する審判員は主に50代のベテランで、30歳でその大役を務めることは全国的にも異例という。
野球に対する大滝さんのひたむきな思いを踏まえ、県高野連が抜擢し、聖光学院が会津北嶺を下して4年連続20回目の夏の甲子園を決めた熱戦を支えた。
大滝さんは鹿島町出身。いわき光洋高で甲子園を目指していたが、腰のけがをきっかけに選手の道は断念。2年生の時から学生コーチに転じ、いわき明星(現・医療創生)大進学後に本格的に審判の道に進んだ。
現在は双葉郡楢葉町役場で勤務する傍ら、いわき野球連盟事務局長や南東北大学野球連盟審判部長を任され、高校野球のみならず、学童から大学、社会人までを幅広く担当している。
福島大会前から決勝の球審に推薦する話はあったが、改めて伝えられた際は背筋が伸びた。準々決勝から6人の審判員で試合を回しており、「審判は一人でするものではない。皆さんのおかげで、決勝の球審をやり遂げられた」と謝意を示す。
審判員は安全性を考慮し、プロテクターやレガースのほか、鉄板が入ったシューズを身に着けるため、その重量は3㌔にもおよぶ。「暑いのは大変ですが、そこは気合で頑張ります」と冗談めかす。
県内には若い審判員も増えているといい、「自分の背中が見せられるよう励みたい」と笑顔で語り、福島大会決勝の翌日もさっそく学童野球の審判に立った。
(写真:高校野球福島大会の決勝で球審を務めた大滝さん)
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30歳で高校野球決勝の球審に抜擢 いわき野球連盟事務局長・大滝さん







