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湯本温泉の旅館組合 いわき市に入湯税制度見直しなど振興に向けて要望
いわき湯本温泉旅館協同組合(薄羽裕一理事長)は20日、市に対して、同温泉の入湯税制度見直しなどを盛り込んだ要望を提出した。薄羽会長は同日、市役所本庁舎で内田市長に要望書を手渡した。
同組合の里見喜生副理事長、草野昭男顧問、小井戸文恵さん、里見郁子さん、若松佐代子さん、草野昭大さん、平山直人さんが一緒に訪れた。塩田美枝子、小菅悟両市議、じょうばん街工房21の小泉智勇会長が要望に同席した。
要望のうち、入湯税制度に関しては課税免除額(税抜き4200円)を廃止し、新たに一律で宿泊150円・日帰り50円の二段階課税にするよう求めた。
日帰り料金は課税免除額を大幅に下回る水準のため、制度としての実効性が失いつつあると指摘。神奈川県箱根町の事例を参考に、宿泊・日帰りともに徴収することで、地域資源を支える税制度としての明快さと公平性が確保できるという。
また得られた税収を通じ、地域観光資源の整備や来訪促進施策にも活用することで、同温泉の持続可能性を要請した。
入湯税を巡っては、財産区施設を維持する観点から値上げが検討されているが、インバウンド(訪日外国人)の誘客が進まない現状での増税は、さらなる客離れを加速させると訴える。同組合では国の交付金や補助金なども活用し、官民連携のもとで抜本的な制度改革が必要と重ねる。
東日本台風や2023(令和5)年の水害時には、被災した市民の入浴機会を提供したことから、同温泉は「地域インフラ」であると強調。上下水道料金や固定資産税の負担軽減も呼びかける。
このほか企業版ふるさと納税による温泉振興、サッカー・J2いわきFCのホームスタジアム移転後の21世紀の森公園のあり方、インバウンドの強化、市石炭・化石館「ほるる」のリニューアルについても伝えた。
薄羽会長は「行政の支援も受けながら、震災やコロナ禍を乗り越えようと頑張ってきた。ただ地元の子どもたちの中にはいわき湯本温泉に入ったことのない子もいるため、広く地域資源として盛り上げていきたい」と語り、内田市長は2030年度末までの供用開始を目指す常磐地区の再開発と絡めながら、要望に関して重く受け止めると述べた。
同温泉では震災前のにぎわいを取り戻そうと、60万人の観光客数を目標にかかげている。
(写真:内田市長に要望した薄羽会長ら)