市消防本部は10月1日から、マイナンバーカードと健康保険証が一体化した「マイナ保険証」を巡り、救急業務に活用する「マイナ救急」実証事業を開始する。
総務省消防庁で2022年度から始まった取り組みで、昨年度までに全国67消防本部で実証事業を行っていたが、本年度から全国すべてにあたる720の消防本部に広げた。
いわき市でも14台すべての救急車で対応するようになり、市民にマイナ保険証の登録・携行を呼びかけている。10月からの実証事業は2カ月間を予定しており、内容を検証した上で本格運用に移行する方針。
マイナ救急は、救急隊員が傷病者のマイナ保険証を同意を得た上で読み取ることdで、かかりつけ医の有無や過去の処方薬、特定健診の受診結果が把握できる。傷病者は正確な情報を少ない負担で伝えられるほか、迅速な応急処置や搬送とともに、医療機関に到着後により早い治療が期待できる。
意識不明などの場合には、救急隊は同意なしで医療情報を閲覧できるが、税や年金等の救急活動に関係のない情報は取得できない。また目視で本人と確認できない際には4桁の暗証番号を入力してもらうため、市消防本部では傷病者のプライバシーは守られると強調する。
全救急事案を対象とするが、マイナ保険証を所持してなかったり、本人から同意を拒否されたりすると、従来通りの救急活動で搬送先を選定する。
実証事業に先立ち、市消防本部は24日、報道各社にマイナ救急の運用について説明した。「50代男性が路上で体が動かせなくなり、通りがかった人が119番。救急隊に対してうまく話せないが、マイナ保険証を提示してもらった」との想定で、一連の流れを示した。
この想定では、手順に沿ってマイナ保険証を手渡してもらうと、男性が特定健診で不整脈を指摘されていた点を把握し、いち早く脳卒中を疑い、専門の医療機関に搬送を要請することができた。
市国保年金課によると、7月末時点で国民健康保険(国保)に加入する市民(5万2412人)のうち、72・8%がマイナンバーカードと健康保険証を紐づけており、各健康保険組合でも切り替えが進んでいる。
市消防本部の担当者は「もしもの時の備えになるので、事前にマイナ保険証の利用登録をし、普段から持ち歩いてほしい」と話している。
(写真:マイナ救急のデモンストレーション)
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いわき市消防本部 10月からマイナ保険証を搬送に活用へ 登録・携行を啓発







