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いわき市 住民からの市道整備要望を明確に 2段階評価で『見える化』へ
市は住民による市道(生活道路)の整備要望に対し、可否に関するはっきりとした基準を設け、ふるい分けと優先順位の2段階評価をすることで、公平性・透明性の確保とともに、市民の理解促進につなげていく方針を固めた。
いわき市の土木行政を巡る最上位の会議体として設置され、2日に市役所本庁舎で初めて開催された「市土木審議会」で示された。
審議会では市道のあり方や、道路インフラにおける包括的民間委託の導入を含めて議論し、2027(令和9)年9月をめどに、内田市長に報告を予定する。2日は会議に先立ち、委員への委嘱状交付式も行われた。
市によると、生活道路の要望を受けての工事は平均約10~13年の期間を要し、23年度末時点で、整備に未着手の道路改良は54%、道路舗装は80%に上る。背景には維持費が年々増加している中で、要望内容と整備効果のバランスが難しい点を挙げる。
住民からは「なぜ整備してくれないのか」という不満が募るが、明確な事業化基準がないことから、市としても回答できない現状がある。
そのため一連の流れを『見える化』し、1次評価で要望をふるい分けし、事業化できない場合には必要に応じて代替案を提示。現地調査を基に、2次評価となる優先順位付けをし、納得感の醸成と業務の効率化・省力化を図っていく。
市道のあり方も見直していく。市内には9173路線・総延長約3557kmを有し、1981(昭和56)年に定めた要綱に基づき、幹線1級、同2級、その他の3区分に分けている。
しかし指定から40年以上が経過し、住宅や工業団地の造成、商業施設の立地などで、市では現状に即していないと指摘。交通、防災、まちづくり、産業・物流の観点から、新たに重要路線を選定し、整備の参考としていく。
委員からは「重要路線は相対的に中山間地の割合が低くなるのでは」との意見が挙がったが、市としては支所などへのヒアリングを通じ、地域に応じて柔軟に対応すると説明した。
包括的民間委託の導入については、複数の業務やエリア、分野を一体化して維持管理にあたる考え方で、市では下水道や公共施設の分野で導入済み。道路インフラに広げることで、地域の雇用維持や市民サービスの向上につなげていく。
(資料写真:いわき市役所本庁舎)