歌舞伎俳優中村勘九郎、七之助さんらが所属する芸能事務所「ファーンウッド」の特別顧問で、いわき市出身の創業者・田中亨さん(享年79)を偲ぶ会が9月30日、東京都台東区の浅草公会堂で行われ、歌舞伎・芸能関係者ら約500人が参列した。
招待を受けた好間町の小谷作青年会(中村友也会長)が冒頭、いわき市の無形民俗文化財じゃんがら念仏踊りを披露。江戸時代から続く伝統芸能の鉦(かね)と太鼓のリズムが、歌舞伎の聖地に響き渡った。
田中さんは今年3月に死去した。歌舞伎の「中村屋」を支えた敏腕マネジャーとして知られ、会には中村勘九郎、七之助、芝翫、片岡亀蔵、坂東彌十郎さんらが参列。浅草観光連盟の冨士慈美会長のほか、俳優永島敏行さん、田中さんと同じいわき市出身の元読売巨人軍投手で、野球解説者の江川卓さんが弔辞を読んだ。
劇場の運営をサポートするお茶子や(本社・東京都台東区)の木村計美さんによると、田中さんは幼少のころ、炭鉱で働く父とともにいわき市に住んでいたことがあり、「身内が在籍する小谷作青年会の話をしたところ、いわきの夏の風物詩じゃんがら念仏踊りに興味を示していた」という。
今年は新盆に当たるため、「田中さんの奥さまにじゃんがら念仏踊りの奉納を提案し、快諾をいただいた」という。平日の開催で演者が足りなかったが、OBや首都圏在住の経験者の協力を受け、14人が集まった。
マイクロバスで約200kmを移動するなどした一行は、客席を縦断するように張り出す花道をゆっくりと進み、舞台に登場。代表者が遺影に向かい白い生花を献花し「小谷作青年会です。よろしく、お願いいたします」と参列者に一礼した。
「盆でば米の飯、御付けでばなす汁、十六角豆のよごしはどうだい」。念仏を唱える唄を太鼓打ちの板橋拓海さん(23)が朗々と歌い上げ、鉦と太鼓の共振した音色がホール全体にこだました。
拍手と歓声に見送られた一行は、浴衣姿で浅草寺などを見学。大役を終えた板橋さんは「500人の参列者の前で緊張したが、無事に終えることができた。供養の一助になれば幸いです」と話した。
(写真:浅草寺で記念撮影に応じる小谷作青年会)
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芸能事務所ファーンウッド創業・田中さん(いわき出身)偲ぶ会 じゃんがら披露






