X(旧ツイッター)で「いま日本では不法滞在者や難民申請者の長期滞在が難しいが、福島にいる有名なパキスタン出身の社長が姉妹都市を提案し、いわき市長はその場で同意した。これは政府も関わり、いわき市でパキスタン人が容易にビザや仕事、奨学金を得られる」といった誤った情報が拡散している。
きっかけは内田市長が今年9月、市内で自動車輸出・製造業を営むパキスタン出身の男性と懇談した際、男性側が「本市と協定を締結するぐらいの気持ちで、いわきにも貢献し、いわき市民と親しくしたい」と述べたところ、国内に在住するパキスタン人向けのメディアが、男性の出身地であるパキスタン中部・ワジラバード市と年内にも国際姉妹都市締結と誤って伝え、そこからデマにつながったとみられる。
内田市長、企業側双方とも、いわき民報社の取材に対して全面的に否定しており、記事の訂正を依頼した。
内田市長によると、国際姉妹都市に関して、パキスタン政府や公的機関から提案があったことはなく、記事にあるような必要な文書の準備を進めている事実はないとした。良好な国際関係の維持は必要とした一方で、いわき市においても外国人との秩序ある共生社会の実現は変わらないと強調する。
Xでは現地の有名ジャーナリストが「不法滞在者や出稼ぎ難民の救いの手になる」と報告しているとの投稿もあった。
全国的に一部の外国人による不法行為をきっかけに、排外主義的な風潮が広まっている。今年9月には外務省と国際協力機構(JICA)が、アフリカ4か国と日本の4市で交流する「ホームタウン」事業を巡り、現地の誤った報道を端に「アフリカから移民が押し寄せる」「治安が悪化する」とのデマが巻き起こり、事業の取りやめが決まった。
SNS上ではいわき市にまつわる今回の誤情報を基に、パキスタンへのヘイトスピーチ(憎悪表現)も散見される。
市には31日午後までに、30件近い問い合わせの電話やメールが寄せられており、担当する市交流推進課は対応に追われ、他の業務に支障が出ていた。
(資料写真:いわき市役所本庁舎)
※初報で市の課の名称に誤りがあったため、訂正しました。
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いわき市にまつわる誤情報拡散 パキスタンの都市と姉妹都市でビザ容易になど






