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いわきFC

いわきFCスタッフ・野木さん 市から出向で社会連携の中心に 地域課題を共有

 サッカー・J2いわきFCを運営する「いわきスポーツクラブ」が昨年1月に立ち上げた「地域推進部」。チームのビジョン「スポーツを通じて社会価値を創造する」の実現に向け、選手を交えながら、地元の人たちと一緒により良い地域にしようと活動している。
 そのひとりが、市から出向し、地域推進リーダーを務める野木慶太さん(38)だ。クラブが取り組む認知症サポーターの活動は野木さんのアイデアで、今年5月にはJリーグクラブの社会連携活動を表彰する「Jリーグシャレン!アウォーズ」のパブリック賞に選ばれた。
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 野木さんは昨年4月、民間交流の一環でいわきスポーツクラブに出向した。市職員として、都市復興推進課でイオンモールいわき小名浜の開設などの「小名浜復興まちびらき」に向けた小名浜港背後地整備事業を担い、医療センター事務局では旧総合磐城共立病院からの移転にかかわった。行政職で唯一、災害派遣医療チーム(DMAT)のメンバーでもある。
 行政から飛び込んだ身として、着目したのが地域包括ケア。「認知症の問題はとても大きく、市としても発信のあり方を考えている」(野木さん)中で、認知症サポーターの取り組みを提案した。
 認知症サポーターは厚生労働省の施策で、認知症に対する正しい知識と理解を持ち、地域で認知症の人やその家族に対して、できる範囲で手助けする役割を持つ。クラブ全体で認知症の患者を支える意識を高めるため、選手、スタッフが講座を受けた結果、その姿勢が高く評価され、「Jリーグシャレン!アウォーズ」のパブリック賞につながった。
 「これをきっかけに、いわきFCも社会連携のあり方をより意識するようになった」と野木さん。本年度はプロジェクトを拡充し、6月には高齢者福祉施設を訪問。9月にはいわきFCの呼びかけで、一般市民を対象とした認知症サポーター養成講座を開催すると、定員の120人を超える反応があった。
 ホームタウンにも積極的に出向き、今季はいわき市と双葉郡8町村で計51回の地域推進活動を展開した。5日には新たな事業として、常磐上湯長谷町のいわきFCパークで「選手と一緒に学ぼう!『応急手当講習会』」を開いた。常磐消防署の協力で、サポーター20人が若手選手5人と心肺蘇生法や自動体外式除細動器(AED)について学んだ。
 「今年は『クラブとサポーターで安心・安全なスタジアム』を掲げている。どうしてもハワスタ(ハワイアンズスタジアムいわき)のハード面には限界があるので、認知症サポーターも含め、サポーターの方と盛り立てていければ」
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 いわきスポーツクラブのスタッフは、意欲的に活動する野木さんについて、「市職員として地域の課題を良く知っており、クラブにとって貴重な存在。でも一番は野木さんの人柄の良さ」と全幅の信頼を寄せる。
 そうした言葉に野木さんは照れつつ、「何か新しいものを作るところに加われたことは、自分にとって糧となった。さまざま出会いは間違いなく大きな財産」と笑顔を見せた。
 かつて〝黒船〟とも揶揄(やゆ)されたいわきFCは官民の垣根をこえ、確実にこの街に根付いている。
 (写真:パブリック賞を手にする野木さん=いわきFC提供)

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