いわきFC
いわきFCスタジアム 3月末にも予定地と規模発表へ 子どもたちの未来輝く場に
サッカー・J2いわきFCの新スタジアム整備計画を巡り、チームの運営会社「いわきスポーツクラブ」の大倉智代表取締役は13日、3月末にも具体的な建設予定地と規模について発表する方針を示した。いわき産業創造館で同日夕方、スポーツによる人・まちづくり推進協議会(会長=小野栄重いわき商工会議所会頭)に対する経過報告会が行われ、大倉社長から関係者に意向が伝えられた。
いわきFCはスタジアムの例外規定を適用し、2023年シーズンからJ2に昇格。このためJリーグに対して今年6月までに基準を満たすスタジアムの計画を提出し、27年6月までの着工が求められている。完成は31年シーズンの開幕までとなっている。
スタジアムの整備に向けては、23、24年度にスポーツ庁の「スタジアム・アリーナ改革推進事業」に採択。有識者による分科会を立ち上げたほか、先進的な取り組みとして、子どもや若者の意見を聞くユースフォーラムを展開してきた。
経過報告会の席上、大倉社長はプロスポーツチームの市場的価値と非市場的価値に関して説明した。市場的価値としては、スタジアムを建設することで地元に160億円以上の経済波及効果が見込まれると紹介。いわきFCに関するテレビや新聞、ウェブでの露出は24年は1万7106件で、広告換算値で約38億円に上るとする試算も披露した。
その上で「非市場的価値をどう置くかが大事」と強調。いわきFCを通じ、地元愛や家族愛、地域への自信が生まれ、チームがあらゆる人たちの共通の話題として取り上げられ、日常的に幸せを感じられるようになってほしいと説いた。
スタジアムの考え方には「まちの構造が変わる345日の居場所」を設定。「試合のある年間20日を除き、ふらっと行けて居心地の良い場所であってほしい」と述べ、分科会で挙がった出会いや教育、チャレンジ、ウェルビーイング(心身の健康と幸福)、防災といったさまざまなキーワードを、スタジアムと掛け合わせる思いを語った。
また大倉氏は「スタジアムのコンセプトは、ヨーロッパから学ぶところがある」とも重ねる。昨年12月に欧州各地を視察した際、イングランド4部のフォレストグリーン・ローバーズFCによる木造スタジアムやリサイクルに特化した特殊なトイレ、ドイツ1部のドルトムントの労働者の街に合わせたロッカーの雰囲気、レバークーゼンのゴール裏中央に車いすエリアを設置するなど障がい者に配慮した設計に触れたといい、「サッカーというよりも、スタジアムで何を実現するか」と投げかけた。
さらに「みんなが集えて使える場所として、子どもたちの未来が輝くものにしたい。場所を公表すると、いろいろな賛否が渦巻くのは承知しているが、皆さんの協力を得ながら成し遂げていく」と誓った。
(写真:スポーツによる人・まちづくり推進協議会に経過を説明する大倉氏)