先月末から雨にたたられ、晩夏の雰囲気もあまり感じられなかったが、いつの間にか朝夕、冷涼な空気が流れ始めた。食欲の秋といえば個人的にはサンマである。好物の刺し身は、お盆すぎに早速味わった▼平凡社コロナブックス『作家の食卓』をいつも手元に置き眺めている。独自の美意識を持った立原正秋の一品は岩手産マツタケ。執筆を終えた夜更け、日本酒1合と備前の皿に盛ったバター炒めをじっくり味わったという▼うまそうに思うがこちらには手が出ない。その点、庶民的なのは池波正太郎のそば。東京・浅草「並木藪」のもり、天ぬきを酒とともに至福の時をすごした。天ぷらそばの麺を除き、たねを汁とともに味わう「天ぬき」▼市内のある店のメニューで見つけ、注文したのだが似ても似つかぬ代物だった。さて14、15日の両日、川前町の市活性化センターで「第3回福島そばまつり」が開かれる。気取りなく思うぞんぶん味わってはいかがか。