8月15日は、言わずと知れた「終戦記念日」だ。テレビや新聞は、終戦の日を中心にこぞって戦争にまつわる特集を組み、戦争を振り返る▼個人的には8月に入ると、戦争に材を得た映画や本に接するようにしている。今回、半藤一利さんの小説を映画化した「日本のいちばん長い日」をビデオで見た。昭和天皇による玉音放送までの激動の24時間を、岡本喜八監督が見事に映像化した作品▼長い日が、降伏に向けて政権、軍部との間で繰り広げられる欺まんに満ちた政治的駆け引きなら、黒木和雄監督の「TOMORROW 明日」は、長崎の原爆投下までの市井の人々の24時間を描いた傑作。本では、出征した俳優が語る「俳優と戦争と活字と」が、軍隊生活の別な一面が垣間見え面白かった▼戦後、日本人は反戦、恒久平和を誓った。だが、過ちを繰り返すのが人間、過去の過ちを忘れないためにも、せめて8月だけでも鎮魂と平和への思いを新たにする月にしたい。