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片隅抄

2022.07.27

優勝の行方はどうなったか。午前11時から始まった夏の全国高校野球福島大会決勝は、雷を伴った雨のため二回途中で中断。午後1時を過ぎてようやく再開された▼いわきは青空が見えるが、会場となった郡山は試合開始前から不穏な雲が広がっていた。初回に光南が1点を先制したが、聖光学院も二回にすぐ2点を挙げて逆転。さぁ、これからというときに〝水をさされて〟しまった▼スポーツに雨はつきものとはいえ、今大会は長時間の中断や順延などしばしば雨にたたられた▼昭和48年8月というから、かれこれ半世紀も昔の話だ。怪物江川卓投手がどしゃ降りの甲子園で苦しんでいた。0―0で迎えた延長十二回裏1死満塁。その回限りで試合は打ち切りが検討されていたという。しかし押し出し四球を与えて敗れてしまう。阿久悠さんよりはるか先に、サトウハチローさんが感動して詩にした逸話が残っている。高校野球は雨をも物語に変えてしまう魅力があるようだ。

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