県吹奏楽連盟いわき支部は4日、学校の垣根を超えて、市内の小・中学生が楽器に親しむ「いわき吹奏楽アカデミー」を開講する。吹奏楽アカデミーは、部活動を民間にゆだねる地域移行や、教職員の働き方改革の動きとも連動しており、将来にわたって楽器を演奏する機会の創出を目指していく。また、いわき芸術文化交流館「アリオス」も主催者に加わっており、吹奏楽の地方組織と地元ホールが連携する取り組みは、全国的にも珍しいという。
吹奏楽アカデミーは、6月から来年1月までの計5回予定されており、パート練習や合奏を進めながら、最終的に成果を発表する機会を設ける。全体の指導者は、同連盟の根本直人音楽監督が務め、市内の一般吹奏楽団のメンバーや、いわきアリオスのスタッフにも協力してもらう。
いわき支部の永井公理事長は「いわきアリオスの協力で、吹奏楽における地域移行の問題が大きく前進した」と指摘する。吹奏楽部の地域移行にあたって、練習場所の管理や責任、ティンパニーやバスドラムなど大型打楽器の取り扱いに課題があった。だが楽器の貸し出しも含め、いわきアリオスが主体的に参加することで、多くの点が解消された。
一般吹奏楽団の団員の存在も大きい。地域移行では民間団体の活用が求められているが、社会人が余暇に、楽器に触れられる環境が地元にあることを、小・中学生のうちから知ってもらえる。
「吹奏楽アカデミーの一番の目的は、みんなで楽器を楽しく吹くことにある」と、永井理事長は強調する。市内在住の小・中学生であれば参加資格は問わず、現時点で希望する約80人の中には、吹奏楽部のない学校に通っており、自分で楽器を練習している子も含まれるという。「小・中学生に新たな交流が生まれる」と期待を寄せる。
全日本吹奏楽連盟も、地元ホールが携わるいわき支部の試みに注目しているといい、部活動のあり方が問われる中で、いわき発の新たなモデルが、全国に広がっていくかもしれない。
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