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8~16日 植田で常磐もの振興イベント まちのにぎわい狙いに

 植田町の飲食店が中心となって、いわき市の水産物ブランド・常磐ものの振興と、まちのにぎわい創出を目指した初のイベント「〝恋するさかな〟in植田」が8~16日、地元の11店舗で開催される。
 仕掛け人は「dining kitchen(ダイニングキッチン)月海―Ruu―」のオーナーシェフ・今野詠史さん(48)。東日本大震災・東京電力福島第一原発事故から間もなく13年となる中で、風評払しょくと地場産品の魅力発信に努めるとともに、コロナ禍からの復活を期す。
 今野さんはイベントに関して、「植田でおもしろいことをやりたい。じゃあ自分が先陣を切ろうと思った」と明かす。
 生産者と連携したマルシェの企画や、高校生によるメニュー開発への協力、6次化商品を手がける「月海商店」の運営を展開し、本年度の市農林業賞にも選ばれたが、一番は店舗にお客さんが集ってくれることだ。
 今回のイベントでは、常磐ものの代表格であるヒラメをメインに、参加店舗ごとに趣向をこらしたメニューを展開。家庭でも再現できるレシピも紹介し、広く魚に親しんでもらう。
 常磐ものの認知度は、ふるさと納税の返礼品で注目されたように、福島第一原発の汚染水を浄化した後の処理水を巡り、昨年8月から海洋放出が始まった中で、上がってきている。
 これを好機ととらえ、イベントを通じ、改めて一般の市民にも魚のおいしさに触れてもらう機会としていく。
 イベントの背景には、まちを盛り立てる狙いもある。新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けが5類に移行し、10カ月を迎えるが、今野さんは外飲みの需要が戻っていないと実感する。「恋するさかなをきっかけとし、電車に乗ってでも植田に来たいと思ってもらえれば」と話す。
 こうした思いに、他の飲食店主も賛同する。「大衆ワイン食堂 聚楽」の佐藤祐樹さん(44)もその一人。都内などでの修業を経て、祖母がかつて切り盛りした大衆食堂と同じ植田駅前で、昨年6月にオープンしたばかりとあって、ふるさとの活性化に期待を寄せる。
 「縁あって今野さんにお声がけいただいた。一緒に頑張っていきたい」と力強く意気込む。仕込みの合間を縫って、ヒラメの提供の仕方などを話し合ってきた。
 参加店舗に、小浜町の「北投の湯 いわき健康センター」が加わっている点も、イベントの特徴となっている。食事処で発案されたメニューを提供することで、施設の目玉としつつ、利用者に各店舗を知ってもらう。
 また生産者との関係が深い利点を生かし、館内で新鮮な野菜や魚の販売も計画している。一部はあらかじめ加工を施して並べ、食卓での面倒を無くしてしまう。
 「単にお店を空けていれば、お客さんが来てくれる時代ではない。このまちのために創意工夫しながら、たくさんの人を魅了していきたい」。今回のイベントを一里塚に、今野さんたちの夢が動き出す。
 その他の参加店舗は次の通り。
 酒場かたりな 東や まつり おのざき鮮場植田店 さ川 四季彩食みどり ダイニングカフェRun やきとり十八番植田店
 (写真:イベントをPRする今野さん=右=と佐藤さん)

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