一般的に玉音放送が流れた８月１５日を終戦の日としているが、日本の重光葵外相が降伏文書に調印し、大戦が正式に終結した９月２日を終戦の日とする向きもある▼局地的な戦は15日以降も続き、ＧＨＱの占領政策から独立国として一歩を踏み出し、「もはや戦後ではない」との言葉が流行したのは１９５６年。この年の１０月に調印された日ソ共同宣言を経て、１１年に及ぶシベリア抑留が終わった▼弊紙では毎週土曜、関内幸介氏の磐城高時代の恩師で文学者としても才覚を発揮した故藁谷達の文学を掲載している。藁谷は終戦とともに旧ソ連に拉致され、ラーゲリの強制収容所で強制労働に従事した。過酷な経験が強く反映されており、この事実を後世に伝える意味からも、ぜひ若い世代に一読を勧めたい▼一昨年、ラーゲリの捕虜となった山本幡男を描いた映画「ラーゲリより愛を込めて」が公開された。こちらを鑑賞してから藁谷の作品に目を通すと理解がより深まる。
