このごろは利口な人が増えて、腹蔵なく意見を申し述べたいところを我慢して、あえて波風を立てない▼すると周りから「あの人は決して他人の悪口を言わない人格者だ」と尊敬されたりする。例えば長嶋茂雄さんがそうだったと巷間伝わっている。その対極にいたのが張本勲さんだろう。よせばいいのに、今をときめくメジャーリーガー大谷翔平選手に「二刀流は無理」、サッカーのカズ選手にも「もうおやめなさい」と『喝』を入れて自ら炎上しまうのだ▼プロ野球では御意見番・豊田泰光さんの辛口ながら愛情のこもったコメントが好きだった。大相撲なら北の富士さんの歯に衣着せぬ粋な解説に「よくぞ言ってくれた」と心酔したものだ。政治の世界では田中真紀子さんの舌鋒鋭い批評(毒舌!?)が思い浮かぶ▼張本さんの『喝』は愛情の裏返しだっただろうか。それともテレビ局の演出にいいように使われたか。少なくとも希少種になった『愛すべき昭和人』だった。