夏は実力でこの舞台に立ちたい――甲子園で惜敗したいわき海星高野球部の坂本主将の言葉だ。何ともいえぬ好ましさを感じた。試合を終えた瞬間、「夢」からより具体的な「目標」が生まれたに違いない▼あと1週間で4月。今年も多くの若者が、進学や就職で新たなスタートを切ることだろう。夢をかなえて門出する彼らが次に向かうのは、目標達成への道。その道を進む中で忘れてほしくないことがある。「ふるさといわき」だ▼中学時代の恩師から卒業文集を通して贈られたメッセージを、時折思い出す。「勉学成った暁には、必ずやこの地に戻り、いわきの未来を担う人になってもらいたい」▼それから三十余年がたった今、同じ言葉を次の世代に送り継ぎたい。「努力を重ね将来目標を成し得たなら、1人でも多くの人がその培った力をいわきに注ぎ、よりより地域づくりに生かしてほしい。なぜならあなたたちは、復興・再生にまい進するいわきの要なのだから」