東京にいたころ、ある総合出版社のアルバイトに応募したことがある。運良く採用されたが、配属先は独和辞典編集部だった。独文専攻でもなかったが、簡単なスペルの校正ぐらいは任された覚えがある▼その書籍は昭和三十年代末から企画されたもので、約1年の契約期間が終わった翌年ごろに『独和大辞典』として世に出た。その後、興味を持ってドイツ語を勉強したわけでもなく、同国に関心を示したこともない▼数年前、旧「市観光物産協会」が湯本町とドイツ・バーデンバイラー市が温泉を通して提携を進めていた際、日本側の表敬訪問団に誘われたが1週間のスケジュール調整が難しく、参加することができなかった▼あす、勿来市民会館敷地内でドイツから寄贈された星一顕彰碑の除幕式が行われる。この過程には、地元有志で組織されたプロジェクト実行委員会の力も大きい。歴史的にもつながりの深い両国であり、今後は官民挙げての文化交流などを期待したい。
片隅抄