出るの出ないのと、夏の幽霊ではないが昨日、民主党の小沢一郎前幹事長が代表選出馬の意向を固めた。これで再選を目指す菅代表、すなわち現総理との権力闘争の火蓋が切られたわけだ▼政権与党での党首選びといえば、昭和53年の自民党総裁選を思い出す。一般党員を含め予備選挙で、大平正芳氏が大方の予想を覆し、福田赳夫総裁に勝利したのだが、党内にのちのちまで混乱と遺恨を残した▼浜田幸一元衆院議員が大立ち回りを見せた四十日抗争、野党に反主流派が同調した内閣不信任案可決。さらに解散、衆参同日選挙とめまぐるしい政局の中で大平総理が死去するという、今では考えられない状況が続いた▼師と仰いだ田中角栄氏に反旗を翻してから四半世紀。結党、解党を繰り返しながら今回、国政の表舞台に立とうとする小沢前幹事長。自身の潔白も証明されておらず出馬に納得しない国民も多いはず。どちらが選ばれても混迷は避けられないだろう。