「鍛え抜かれた肉体と不屈の精神力…」。昭和40年代後半から50年代にかけ、NETテレビ(現テレビ朝日)の舟橋慶一アナウンサーが実況する「ワールドプロレスリング」放送に胸躍らせた▼プロレス初観戦は同54年5月。奇しくも弊社後援の新日本プロレス「第2回マジソンスクエアガーデン・シリーズ」だった。当時、アントニオ猪木選手のサインが欲しく、色紙片手に宿舎の甲陽館を訪ねたものだ▼当日は、いわき平競輪場駐車場での野外試合。開場後、トレーニング風景を見ることができた。来場者が遠巻きにする中、先日急逝した山本小鉄さんが「ガシン、ガシン」と金属音をたてながらベンチプレスに汗を流していた▼現役時代は突貫ファイトが持ち味で、引退後も厳しい指導者として多くのスター選手を育てた名伯楽でもある。後年、苦労をともにした猪木社長と仲たがいもしたが、大試合後の殺伐としたリング上で体を張り、主人を守る男気のある人だった。